お日様のとなり
着て行く服に悩んでいると、部屋はあっという間に洋服だらけになってしまった。
洗濯物を持ってきたおばあちゃんが、荒れた部屋を見て目を丸くする。
「おやおやこんなに散らかしてこの子は。着る物にそんなに悩んでどうするんだい」
何も知らないおばあちゃん。
けれど、私の焦った顔を見て何か察したようで。
「仕方がないねえ……」
そう呟いて部屋を出て行くと、数分して大きな包みを抱えて戻ってきた。
腰の悪いおばあちゃん。
だから重たい物を持つのは私の役目だ。
私は慌てて立ち上がり、おばあちゃんの手から包みを受け取る。
「おばあちゃん、これ何?」
尋ねると、ふっと表情を柔らかくしたおばあちゃんは「開けてごらんよ」と言った。
言われた通り開いてみると、中から出て来たのは紺色の浴衣だった。
「おばあちゃんこれ……」
「若い子にはちょっと地味すぎるかねえ」
私はぶんぶんと首を横に振る。
「そんなことない。これ、とっても素敵」
そう言うと、おばあちゃんは嬉しそうに微笑んだ。