お日様のとなり
そんなやり取りをしていると、あまりの騒がしさを不審に思ったのだろう。
おばあちゃんが玄関にやってきた。
「おやまあ、賑やかだと思ったら」
「おばあちゃん……」
門の外にいるイチくんに目を向けると、おばあちゃんは一瞬だけ驚いた顔をして、すぐに頬を緩めた。
「こんにちは。いつもみあと仲良くしてくれて、ありがとうね」
「い、いえ。こちらこそ」
頭を下げたイチくんは、おばあちゃんなの?と目配せしてきたので、私はこくりと頷いた。
「おばあちゃん、この人は安藤伊智くんていうの」
「そうかい。イチくんとやら、ちょっとこっち来てお上がんなさいよ。どうせみあの支度にもう少しかかるんだろう」
「そ、そうだけど……」
「ほれ早く門開けてやらんね」
おばあちゃんに急かされて、門の鍵を開けに行く。
「おじゃまします」
イチくんがゆっくりと入って来るのを見て、おばあちゃんは満足そうに頷くと、先に奥に歩いていった。
イチくんが家に上がるなんて、変な感じだ。
そう考えていた時、すれ違い際にぎゅっと手首を掴まれた。
驚く私の耳にそっと顔を近づけたイチくんは。
「浴衣じゃなくて、浴衣を着たみあが可愛いって言ったんだよ」
小さな声でそう伝えてくれた。
照れ隠しをするように最後にベッと舌を出して笑ったイチくんに、心臓がキュッと変な音を立てた。