お日様のとなり
急いで支度を終わらせて、パタパタと居間に走る。
するとお茶を飲みながらおばあちゃんと楽し気に談笑するイチくんが、ぱっと私に顔を向けた。
「あ、みあ。準備おわった?」
「あ、うん。あれ?イチくん?」
イチくんの姿を見て瞬きを繰り返す。
イチくんは立ち上がって私の目の前に立つと、嬉しそうに両手を広げた。
「みあのばーちゃんが着せてくれたんだ。みあとお揃い」
「じいさんも背が高いと思ったけど、イチもまあまあさね」
「んなこと言って、俺に惚れたらじーさんが泣くぞ」
「生意気言ってんじゃないよ。その鬱陶しい髪も結わせな」
「あー、髪はいいよ、このままで」
イチくんとおばあちゃん、すっかり意気投合しちゃってる。
イチくんが着ている暗めのグレーの浴衣はたぶんおじいちゃんの物だろう。
白色の帯が映えて、明るいイチくんにぴったりだと思った。
「ほれほれ、見惚れてないでさっさと出掛けんかいな」
おばあちゃん、それは私に言ってるの?
恥ずかしくてつい言い返しそうになったけれど、おばあちゃんが懐かしそうに私とイチくんを見ているので、何も言わないでおいた。
「うん。おばあちゃん、行ってくるね」