お日様のとなり
駅に着くと、ラッシュの時間でもないのに人が多い気がした。
友達同士で歩く人、手を繋いでいるカップル、一人スマホを片手にキョロキョロしている女の子。
みんな、これから花火大会に行くのだろうか。
みんながみんなそうではないのかもしれないけど、自分がこれから行くからなのか、視界に入る人がみんなそういう風に見えてしまう。
「結構人多いね」
「そうだね……」
知ってる顔の人に合わないか、そわそわした。
イチくんには可愛いって言ってもらえたけれど、他の人はどう思うか、少し不安だ。
普段学校で無表情だとか暗いとか色々言われてるから、なんて恰好してるんだって、白い目で見られそう。
隣にいるイチくんが、いつにも増してかっこいいから。
例えて言うならあれだ……月とスッポン。
もちろんスッポンは私。
浴衣は素敵なんだけどなあ……。
「みあ、電車きた。って、なに突っ立ってんだよ」
ぼーっとしていたら、歩き始めたイチくんに気が付かなくて。
腕を引かれて身体がぐいっと引っ張られる。
そのまま電車に乗り込むと、車内はすぐにほぼ満員。
イチくんとの間に出来ていた隙間は、後から乗ってくる人に押されて徐々に狭まっていく。