お日様のとなり

イチくんの言葉はいつも私の心を明るく照らして、ポカポカにしてくれる。

まるでお日様みたいな人……。

「イチくん」

「ん?」

「……ありがとう」

いつもありがとう。

今のはそういう意味で言ったのだけど。

「こんなので良ければ、いくらでも」

ちゃんと伝わっただろうか……。

これからもずっと、イチくんの傍にいられたら。

こんな日がずっと続くのだとしたら。

ちゃんと伝えていけるといいな……。


その時、何かが爆発したみたいな大きな音がして。

見上げれば、空に大きな光の花が咲いていた。

海でやった手持ち花火とは比べ物にならないくらい、大きくて、キラキラしてて、長くは続かない美しさが儚くて、初めて見た花火はとても綺麗だった。

「あ、花火始まっちゃった」

「ほんとだね」

「行こっか」

そして、自然と繋がれる手。

それだけのことがどうしても嬉しくて、苦しくて、もどかしくて、くすぐったくて。

そっと握り返すと、イチくんは目を細めて私を見た。

「……っ」

この感情をなんと呼べば良いのかまだ分からないけど。

このあたたかい手をいつまでも、離したくはないと思った。



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