お日様のとなり
「イ、チくん……」
カメラを構えて面白そうに私を囲む女子生徒を見ているイチくん。
歓声はいつの間にか止んでいて、こちらの異変に言づいた人たちの声で体育館がザワつき始める。
特に手を上げていた女の子は顔を青ざめさせていて、プルプルと身体を震わせていた。
「みあ、カメラ持って来てる?」
「え?あ……一応……」
こんな時にカメラ……?
と思ったけれど、さっき部室から借りてきていたデジカメを鞄から出してイチくんに見せた。
「なんか勘違いされてるみたいだから説明するけど、今日は試合の記録係として写真部も呼ばれててさ。君らのおかげでみあを探す手間が省けた。ところで、うちの部員が何かした?」
「あ、そんな……あたしは別に……っ」
「安心してよ。俺こういう写真は趣味じゃないし、後でちゃんと消去しとくからさ。あ、でもこっち見てるよ、君らの大好きな西野くん。手振らなくて大丈夫?」
騒動に気付いたバスケ部員の人たちもこちらを見上げていて、大蔵はさっきとは比べ物にならないくらい怖い顔をしていた。
怒ったようにボールを床に打ち付けて歩き始める大蔵を、近くにいた部員が止めている。
「あ……、ああ……」
言葉を失った女の子は逃げるようにギャラリーから走り去ってしまった。