お日様のとなり
私を噂していた女の子たちも、気付けばいなくなっていて、私たちの周りには純粋にバスケの応援をしている人たちだけになっていた。
イチくんに目を向けると、レンズの交換をしていたイチくんは顔を上げて「ん?」と首を傾げた。
「あの、さっきはありがとう」
「別に。なんか騒がしいから来てみただけだし。ああいうのって試合の妨げになるから、良い写真も撮れなくて、俺自身も嫌いだから」
イチくんは普段女の子から自分が騒がれていることに気付いてないのだろうか。
苑実もイチくんが来ると練習にならないって嘆いていたし。
たしかに、あのまま悲鳴のように騒がれていたら、普通に試合が出来るような雰囲気じゃなかったかもしれない。
ところで……。
「なんでいるの?」
そう聞いてみれば。
「匠先輩に聞いた。今日バスケ部の試合があるって」
「そうなんだ」
そっか。
森園先輩に聞いたんだ。
試合の記録係ってあの場だけの嘘だと思ってたけど、それは本当なんだ。
「こっちのセリフなんだけど」
「え?」
「なんでここにいんの?」
「私は、応援に来てほしいって言われて」
「ふーん」
あれ……?
なんかイチくん、機嫌悪い?
私が面倒なことに巻き込んでしまったからだろうか。
イチくんが来てくれなかったら、私どうなってたんだろう。
あのまま叩かれて……ダメだ、考えないようにしよう。