お日様のとなり
廊下に出ると、ちょうどそこでイチくんとばったり出会った。
「あ、見っけ!」
私をみつけると、嬉しそうに顔を綻ばせるイチくん。
もしかして、迎えにきてくれたのだろうか。
「あ、もしかして帰るとこ?」
さらりと聞かれて、さっき思っていたことが私の勘違いだったことを知り、下を向く。
「いや、その……」
どうしよう。
写真部に誘われたのって、やっぱりこの人の気まぐれだったんだ。
ちょっと、いや実をいうとかなり、私は乗り気だったんだけどな……。
手を引いて走ってくれたドキドキを思い出して、また心臓が早くなる。
ワクワクしていたお昼の自分は、まるで夢でも見ていたみたい。
「ん?」
声がして、少し顔を上げてみれば、イチくんが私の顔を覗き込んでいた。
近すぎる距離に思わず「ひゃっ」と悲鳴を漏らす。
一歩退くと、イチくんはわけが分からないといった表情で、首を傾げていた。
普段、男の子とこんな距離感で接したことのない私は、心穏やかではいられない。
だけど、イチくんはきっとそうではないのだろう。