お日様のとなり
カメラを持って体育館に戻る途中、自販機の前で苑実に会った。
「みあ、来てくれてありがとう!」
嬉しそうに腕に抱き着かれて、身体がよろける。
「うん。でも男子も試合があるなんて聞いてないよ」
「ごめんごめん!男子も是非って申し出があってさ。女子の試合は男子が終わってからなんだ」
「そうだったんだ。頑張ってね」
「うん!ってゆーか、みあ大丈夫?!」
「なにが?」
「なんか揉めてたじゃん。下からも見えたから心配してたんだよ」
私が叩かれそうになっていた時のことだ……。
やっぱり、いろんな人から注目を浴びてしまってたんだ。
せっかくの試合なのに雰囲気を壊してしまって、申し訳ない気持ちになる。
「みあがそんな顔する必要なんかないよ。悪いのは向こうだって、みんな分かってるから」
「でも、ごめんね。私がこんなだから、ああいう風に思う人だっているよね」
表情が上手く出せないから、思っていないことでも相手を誤解させてしまうこともある。
誰かと関わろうとするのって、きっと言葉だけじゃ足りないんだ。
「……これ言うと、みあが逆に気にしちゃうんじゃないかって思って黙ってたんだけどね」