お日様のとなり
「ちょっと、大蔵……?」
「みあは黙ってろ」
険悪な雰囲気に口を挟もうとした私を、大蔵はさらに後ろへ追いやった。
イチくんとの距離がどんどん遠くなる。
大蔵の背中越しにイチくんの声が聞こえた。
「何って、同じ写真部の仲間……だけど」
心臓がぎゅっと縮まったような感覚に違和感を覚えた。
どうしてだろう。
イチくんが言ったことに、何も間違いはないのに。
誰にも言わずに写真部を辞めると決めたから、少なくともイチくんの中ではまだ、私は同じ写真部の一員。
だから、間違ってはいない。
それなのに……。
私がショックを受けることなんて、何もないはずなのに。
顔が上げられないのはなんでだろうか。
無意識に大蔵の背中に隠れたのは、きっとイチくんの顔を見えないようにするためだ。
だから、分からなかった。
「みあのこと何も知らないくせに、簡単にこいつの傍にいられると思うな」
大蔵の言った言葉で、イチくんがどんな顔をしていたのかなんて。
私には到底、分からないことだった。