お日様のとなり
「あの、何してるの?」
気付けば私のいる方にカメラを向けていたイチくんに、眉根を寄せる。
「あ、ごめん。俺、キレイなものとか見つけるとすぐカメラ向ける癖あるんだよね」
「そうなんだ……」
キレイな物なんて、どこかにあったかな。
後ろを振り返って見てみたけれど、私にはそれらしい物が見つけられない。
写真を撮る人にしか分からないような感覚とかがあるのかな。
「やっぱり、ちょっと面白いかも」
「え、何が?」
イチくんが笑う理由が私には分からない。
けど、なんだか楽しそうだ。
私にも、出来るだろうか……。
「あの、それ、私にも出来るかな……?」
「それって?」
「写真部、入ってみようかなって」
勇気を出して言ってみると、イチくんは瞼を少し見開いて驚いた顔をした。
だけど次の瞬間、
「ほんとはまた攫ってっちゃおうと思って迎えにきたんだよね」
と、少し頬を赤らめるイチくんにドキッとした。
けれど、それがお昼のドキドキとは違うことに私は気付かず、深く考えもしなかった。