お日様のとなり
揺蕩う金木犀
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夏休みが終わって、今日から2学期が始まる。
バスケ部の試合に応援に行った日以来、一度も着ることのなかった制服に袖を通すのは久しぶりだった。
スマホにイチくんや真央先輩たちからいくつかメッセージが来ていたけれど、文字を打っては消してを繰り返して、結局最後までそのどれもに返事をすることは出来なかった。
おばあちゃんに行ってきますを告げてガラガラと音を立てながら玄関の扉を開けると、目の前にいた人物に目を丸くした。
「……なんでいるの?」
「お前は俺の顔見てそれしか言えねーのかよ」
朝、家の前で大蔵が待っているなんて初めてで、それ以外に何も言葉が浮かばないのだから仕方がない。
「お、おはよう」
「おう」
そして、当たり前のように一緒に歩き始める大蔵に、首を傾げる。
これは、一緒に学校に行くってことだよね。
でも、なんでいきなり……?
今日はたまたま朝練がなくて、家を出るのが遅くても大丈夫だったから。
体調が悪くて朝練を休んだ。
寝坊をした。
いくつか理由を思い浮かべてみたけれど、どれも違う気がした。
大蔵からも特に何も話し始めることはなくて、そのまま電車に乗ってたんたんと通学路を歩いた。