お日様のとなり

そう言われたのは一瞬のこと。

うまく頭が回らない。

「え……?」

やっとのことで出せたのは、掠れたような情けない声。

だけど、そんな私の声に大蔵は喜んでいるようで。

「やっと少しは伝わったか。この鈍感女」

ニッと歯を見せて笑った顔は、昔から好きな大蔵の笑顔。

子どもの頃と変わらない、大切な……。

頬にふにゃりと触れた、柔らかな感触に目を見開く。

1秒にも満たないそれは、すぐに離れて視界が一気にクリアになる。

「じゃ、俺部活行くわ」

「あ、ちょ……」

何事もなかったようにその場を立ち去ろうとする大蔵に目を向けるけれど、それ以上私から言葉を繋げることは出来なかった。

……今のは、何だ?

頬っぺたに大蔵の……。

「うっわあああぁぁぁ……!」

思い出して、急に熱がこみ上げてくる。

好きって、そういう……。

私はしばらくその場から動けなかった。


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