お日様のとなり
そんなある日の昼休み。
今日はバスケ部の集会があるからと、苑実も大蔵もそれぞれ部の方に行ってしまったからお昼は一人だ。
久しぶりに桜の木のある裏庭へ来てみると。
「よっ!」
思わぬ人に出会ってしまった。
「真央、先輩……っ」
動けなくなってその場で立ち尽くしている私とは打って変わって、あの頃と全く変わらない笑顔でこちらに駆け寄ってくる真央先輩。
「かっきー!おひさしぶりんちょ!お昼まだ?まだだよね。あたしもこれからなんだ。あっちで一緒に食ーべよっ」
真央先輩はするりと素早く私の背中に回り込むと、両手でぐいぐいと押して木の下のベンチに促した。
「真央先輩、あの、私……」
「いいからいいから、はい座って!」
ストンと腰を落とすと、隣に座った真央先輩。
想像していたものと真逆の表情に、つい戸惑ってしまう。
「じゃじゃん!見てこれ。幻と言われている購買のゴールデンキャラメルクロワッサンドーナツ!一日限定3つで、なかなか手に入らないんだよ」
「は、はあ……」
真央先輩は嬉しそうに話しながら、そのゴールデンなんとかというドーナツにかぶりつく。
私はあっけに取られて見ているだけで、何も出来ない。
どうしてそんなに普通に接してくれるのだろう。