お日様のとなり
「あたしさ、かっきーと初めて会った時、咄嗟のことだったとはいえ、”無表情姫”だって言っちゃったこと後悔してるんだよね」
「でもそれは、私が悪いんです。私がこんなだから。だから今だって真央先輩にそう言ってもらえるような顔をしてるつもり、私にはないんです」
「でも分かるよ。一緒にいれば分かる。かっきーに表情がないなんて大嘘だよ。だって、ここにちゃんとあるでしょう?」
真央先輩が手を伸ばす。
そっと指先で示したのは、私の身体の真ん中。
「かっきーの心はいつだって素直だよ。真っすぐで、優しいの。写真を見れば分かる。これ、写真部の特権ね」
はにかむようにそう言った真央先輩の頬は少しピンク色に染まっていた。
「みあの撮る写真、あたしは好きだよ。もちろん、みんなが見て良いなって思える作品も良いとは思うけど。撮ってる人自身が楽しまなきゃ、それは生まれないとあたしは思うんだ」
写真が写し出すのは、何もその一瞬の光景だけじゃない。
真央先輩が最後に言ったそれは、いつか私が感じたことだった。
「かっきーが写真部に来られなくなったのも、何か意味があるんだって、あたしも匠も分かってるから、だから何も言わないんだよ」
真央先輩の言葉に目を開く。
「メッセージ見た?見てないよね、既読付いてないもん」
「すみません……」
スマホのメッセージアプリには未だに開けていない新着のメッセージが何件も溜まったままになっている。
失礼なことをしているのは百も承知。
けれど、見てしまえば自分がどんな気持ちになってしまうかなんて簡単に想像出来たから。
「嫌だな、謝んないでよー。謝られるような内容一度も送ってないもん。あ、恥ずかしいから後で見るとかナシね」
「じゃ、じゃあ今見ます!」
「や、待って!目の前で見られるの一番辛い!」