お日様のとなり
「……なんですか、これ」
「ほらもー、だから言わんこっちゃない……」
スマホを凝視する私の隣で真央先輩が顔を覆う。
メッセージの内容は、部活に顔を出さないことを問われるものは一つも見当たらず、用件だって何が言いたいのか理解に苦しむようなものばかり。
匠先輩の恥ずかしい話や真央先輩のお父さんの面白い小話や情報、さらには画像なんかも添付されていて、画面をスクロールしていく程それは激しさを増している。
「ほらね。かっきーが謝るようなことなんて何もないでしょ」
メッセージの内容にはたとえ何の意味もなかったとしても、私の心の中は温かさでいっぱいになってしまう。
ほら、やっぱり。
思った通り……。
写真部に行きたい。
カメラを持って、もっと色んな景色を見てみたい。
真央先輩や匠先輩にも、教えてもらいたいことがたくさんある。
そして、イチくんに会いたい。
「それはそうと、あのバスケ部くんとはどうなの?」
急な話題変換。
目が丸を通り越して点になりそうだ。
おまけにどうしてそのことを真央先輩が知っているのだろう。
もしかしてイチくんに聞いたとか……。
「写真部は情報網も強し!」
自慢げに胸を張る真央先輩。
「あたしこう見えても恋愛相談なんかにも乗れちゃうんだな」
ずいを身を乗り出す先輩の目はキラキラと輝いていて、私はひとつ溜め息を落とした。