お日様のとなり
聞かれると困るくせに、聞かれなかったら逆に気になってしまうなんて。
私ってどれほど優柔不断なんだ。
あれだけ固く決意したはずなのに、真央先輩に会ってしまっただけでこんなにも弱くなってしまう。
こんな状態でイチくんに会ったら、私はきっと手を伸ばしてしまう。
それでも良いとすら思えてしまいそうで、私はそれが一番怖かった。
私が笑えば、大切なものは戻ってこない。
じゃあ私が大切なものって、一体何なの……?
教室に戻って自分の席につく。
9月に入ってすぐ席変えをしたから、私の席は窓側の後ろから2番目。
ふとグラウンドを見下ろすと、ジャージ姿の生徒たちが集まってきていた。
その中にはイチくんの姿も。
どうしていつも見つけてしまうんだろう。
他にも同じジャージを着た男の子が何人もいるのに、一番はじめに目に飛び込んでくるのはいつだって君なんだ。
他の女の子が触れて、心臓が変な音を立てるのも。
こっち見ないかなって期待してしまうのも。
「……っ」
ふと目が合った気がして、こんなにも泣きたい気持ちになるのも。
全部、全部、イチくんだからだ……。
やっと気付いたよ。
私、私ね……。
イチくんのことが好き。