お日様のとなり
「またそんなあだ名付けて……。本人にちゃんと了承を得てからにしなっていつも言ってるだろ」
「あ、大丈夫です。嬉しいです」
「本当?真央は人にあだ名付けるのが趣味らしくて、困ってない?」
森園先輩にはきっと私の表情が困っているように見えたのだろう。
嬉しいと思っているのは本心なのに、笑えないせいでなかなかそれが人に伝わらない。
初めて会った時に”無表情姫”だと真央先輩が言ったのも、たぶん私が笑えないことが上級生の間でも噂になっているからだと思う。
笑わないとか、無表情だとか、誰に言われても傷ついたりしないけど。
嬉しいと思っているのに逆に取られてしまうのは少し困る。
なるべく言葉で伝えるようにしないと。
「じゃあとりあえず今日は仮入部ってことで、カメラは部にあるやつ自由に使っていいから、イチと校内を適当に回ってくるといいよ」
棚に並んでいたいくつかのカメラの中からデジカメを手に取ってみる。
触ったこともないような珍しいカメラもあったけれど、使い方がわからなくて壊してしまっても大変だし、簡単そうなデジカメにした。
って、デジカメでも十分高価なんだけど。
「みあ、用意出来た?」
「え?」