お日様のとなり
七色の太陽
***
文化祭当日の朝。
「みあ、おっはよー!」
学校近くの道を大蔵と歩いていると、後ろから苑実の声が聞こえて、次の瞬間背中が大きな衝撃に襲われた。
「うわっ?!」
思わず前につんのめると、
「あっぶね!」
大蔵が咄嗟に手を出して、前から身体を支えてくれた。
「……ありがとう」
こんなことになっている原因を作った張本人だというのに、そんな様子を見た苑実は暢気に私たちの後ろでニヤニヤと表情を緩ませている。
「おやまあ、朝からお熱いことで」
「そういうお前は朝からしっかりうぜーな」
「なによ!ちょっとくらい照れた顔とか見せてみなさいよね」
「今のどこに照れるポイントがあったんだよ」
「はあ、あんたのポーカーフェイスにこっちはもう飽き飽きしてんのよ……」
やれやれと首を横に振りながら苑実が大きな溜め息を吐くのを見て、私は思わず「ん?」と声を漏らした。
「大蔵ってそんなに顔に出さないの?」
「……え?」
言い合いをしていた2人が喋るのをやめて、同時にこちらに顔を向ける。
大蔵は不器用で言葉が悪くなってしまうことはあるけれど、笑ったり怒ったり照れたりすることは普通にあると思う。
と、ついそれらを口に出して説明していると。
「みあ、ストップ」
「んむっ!」
大蔵の手が私の口を押さえて、喋るのを強制的に終わらされた。
わけが分からず顔を顰めると、苑実は肩を震わせて笑いを堪えていて、大蔵は口をへの字にしてそっぽを向いてしまった。