お日様のとなり
透明なレンズ
***
「うーん……」
いざ、カメラを手にしてみると、何を撮ったらいいのかさっぱり分からない。
気を抜くとすぐに場所を移動してしまうイチくんに必死について行きながら、とりあえず何枚かシャッターを切ってみたけれど、どれもいまいち。
ふぅ、と溜め息をつく。
砂を蹴る音がして、ふと顔を上げて見ると、裏庭のベンチの上に立ってカメラを構えているイチくんの姿が目に入った。
太陽の光が反射して、キラリと光ったレンズに目が眩みそうになる。
イチくん、今なにを撮ったんだろう。
ぼーっと眺めていると、カメラから顔を離したイチくんがベンチから軽々と飛び降りて、撮った写真を見て微笑んでいた。
イチくんすごく楽しそうだ。
近くに行ってイチくんのカメラを観察してみる。
イチくんがあんなに楽しそうな理由って、カメラに何か細工があるからなのかもしれない。
「ん?」
イチくんは私がカメラをじろじろ見ているのを不審に思ったのか、首を傾げている。
うーん、でも、特殊な機械も付いてないし特別なカメラってわけでもなさそう。
もしかして私にカメラの才能がないだけなのかも……。
「みあ、撮った写真見せて」