お日様のとなり
それからは苑実と色々なクラスのお店を回れるだけ回った。
珍しい食べ物を買って2人で分け合って食べたり、苑実のバスケ部の先輩がいるクラスにも行ってみた。
1時間はあっという間で、店番に当たっている苑実はクラスに戻り、私は大蔵のいる教室に向かった。
待ち合わせの場所や時間をおおよそにしか決めていなかったから、教室の前に大蔵の姿がなくて、私はきょろきょろと辺りを見回す。
そしたら受付の人に声をかけられた。
「お待たせしましたー。お客さんお一人様ですか?」
「え?いや、私は……」
お客さんじゃないです、と私が言う前にぐいぐいと背中を押されて教室の中に押し込まれる。
「お一人様入りまーす!」
「あ、ちょ……」
ぴしゃりと背後で扉が閉められると、急に目の前が真っ暗になって「ひっ」と小さく声が出た。
そういえば、大蔵のクラスってお化け屋敷するって言ってたような……。
雰囲気が出るように空調を効かせているのか、ひんやりとした空気にぞっと身震いしながらそろりそろりと後ろを振り返る。
間違いなんですって言えば、外に出してくれるよね……。
そう思って扉に手をかけるけれど。
「あれ……?」
びくともしないドアに愕然とした。
もしかして出口に行かないと、ここから出してもらえないのだろうか。
順路がわからないくらいに真っ暗な空間。
どっちが前なのか分からないくらいの黒が360度広がっている。
おまけになんだか不気味な音や呻き声なんかも聞こえてくるし。
ここを一人で進むなんて、無理……。
その時、足に何か冷たいものが触れたような感覚がして。
「ひゃあっ?!!」
咄嗟に頭を抱えてしゃがみ込んだ。