お日様のとなり

「なに、盗撮?」

はっとした時には遅かった。

気付かないうちに目の前まで来ていたイチくんにスマホを取り上げられる。

つい無意識に、被写体をイチくんにしてしまっていた。

怒られるかな。
黙って撮るなよって消されちゃうかな。

せっかく上手く撮れたんだけどな。

「なに俯いてんの?」

「え、怒らないの?」

「怒るって?あぁ盗撮って言ったこと?あんなの冗談だよ」

私の手にスマホを戻したイチくんは笑ってそう言った。

確認すると、さっき撮った写真もそのままデータに残ったままだった。


「みあは被写体を人物に絞った方が向いてるかもね。それ、結構よく撮れてるし」

「ほ、本当?」

「まぁデジカメで撮った方はお世辞にも良いとは言えない写真ばっかだったけど」

や、やっぱり……。

「じゃあ行こっか」

「行くって、どこへ?」

「被写体探しに」

そう言って、ニッと笑ったイチくんの顔。

イチくんの笑った顔を見ると、これから冒険に行くみたいにドキドキさせられるから不思議だ。


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