お日様のとなり

グラウンドに来てみると、運動部の人たちがたくさんいて、色々な音が一気に耳に入ってくる。

ボールを蹴る音、スパイクが砂を蹴って走る音、バットがボールに当たる音、それに一生懸命な人の声。

教室からいつも眺めるだけだった、窓越しの世界が目の前に広がっている。

そんなたくさんの音の中にいざ自分も来てみると、そわそわして落ち着かなかった。

イチくんが振り返って、動けないでいる私に近付こうとした時。

「イチー!」

グラウンドから女の子の声がして、イチくんが顔を向けた。

そこには陸上部のユニフォームを着た、同じクラスの橋本さんの姿があった。

ぴょんぴょんと跳ねながら大きく手を振っている橋本さん。スラリと伸びた長い手足が目立つ。

明るくて、はきはきしていて、誰からも好かれている可愛い人だ。

後ろで一つに束ねた髪を揺らして、こっちに向かって走ってくる。
私は、ここにいて良いのかな。

どこか離れた場所に行っていた方が良いのだろうか。

考えているうちに橋本さんは、あっという間にイチくんのもとに辿り着く。
流石は陸上部。

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