お日様のとなり


イチくんと橋本さんって、普段から仲がいいのかな。

橋本さんは同じクラスだけど、イチくんはクラスが別だから、普段の様子なんて分からない。

そもそも、橋本さんと仲が良いのかなんて、私が気にすることじゃないんだけど。



「おう、イチ!ちょうど今からミニゲームやるから、サッカー入ってけよ」

グラウンドを一緒に回っていると色々な人に声をかけられているイチくん。

そこでいよいよ練習にまで誘われているのを見て。

イチくんって有名人だったんだ……。

今更ながらに、隣で目を丸くしている私。

「えー……」

「んだよ、やる気ねーな。って、え?垣谷みあ?なんでイチなんかと一緒にいんの?」

イチくんに声を掛けてくる人は、もれなく私にも視線を移して、まるで珍しいものでも見るような顔をしていった。

その度にイチくんは、
「ほら、カメラ下向けない」
と言って、俯く私の顔を上げさせてくれた。

カッターシャツを脱いで、ティーシャツになったイチくんはその辺に服を投げ捨てる。

「え?え?」

慌ててその服を拾い上げに行こうとしたら、腕を掴まれた。

「スイッチ入ったから、ちょっと行ってくる。服はどうでも良いけど、カメラだけはみあが持ってて」

「わ、わかった。ところでスイッチって何のスイッチ?私、変なとこ押しちゃった?」

「は?」

慌ててカメラを確認する私に、イチくんは変な顔をしたけれど、それどころではなかった私は気が付かなかった。



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