お日様のとなり
写真部のお出かけ
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2年1組、安藤伊智。
身長175センチ、血液型はO型。
黒髪に切れ長の目、薄い唇。
端正な顔立ちで女子からの人気高し。
「ふぅ」
「どしたの、みあ?なんか元気ないよ?」
昼休み。
机に向かい合ってお昼ご飯を食べていると、苑実が首を傾げた。
「ううん。ちょっと疲れてるだけだから、大丈夫」
「それって写真部に入ったからとか?写真部ってそんなに大変なの?」
苑実が言いながらみるみる顔を青ざめさせる。
食べていたメロンパンの欠片がポロリと口から落ちていった。
「ほんとに?ほんっとーに無理してない?」
ダンッと机に手を付いて、身を乗り出す苑実。
あまりの物音に教室にいる人たちが一斉にこちらに視線を向けた。
「……あ、あ、違うよ。ただまだ慣れないだけで」
質問責めな苑実。
その理由は純粋に私のことを心配してくれているからだと分かっているけど。
こういう時、普通に笑うことが出来れば、苑実のことを安心させてあげることが出来るのだろうか……。
「そういえば、バレー部の子から聞いたんだけど、みあ昨日サッカー部の連中と一緒にいたって本当?」
「あー、うん。なんか、成り行きで」
「成り行きでみあがあんな男ばっかのむさくるしい連中の中に混ざることってあるの?」
「それはイチくんが……」
「イチくん?イチってあの安藤伊智?」
苑実は声を低くして眉根を寄せた。