お日様のとなり
とにかく、苑実はイチくんに対してあまり良い印象を持ってないってことだよね。
でも私が写真部に入るってことは、少なからずこれから接点が増えてくるってことなんじゃ……。
悪い予感がしたけれど、これ以上考えるのをやめた。
その矢先。
「垣谷さん、あっちで安藤くんが呼んでるよ」
同じクラスの女の子に言われてドアの方に顔を向けるとイチくんが立っていた。
昼休みなのに、一体私になんの用があるんだろう。
「あ、ありが……」
「なにいぃぃぃぃ?!!」
教えてくれた女の子に私がお礼を言うよりも先に、声を大きくした苑実に憚れてしまった。
驚いて、立ち上がったのにまたストンと席に座り込んでしまう私。
苑実のあまりの気迫に目をぱちくりさせている女の子を横切って、大きな足音を立てながらずんずんとイチくんの方へと近づいて行くから、私は慌てて苑実の後を追いかけた。
言ってるそばから早速接点が……!
「ちょっとあんた!安藤伊智!」
「え、誰だっけ?!」
勢いよく目の前で指を差されてたじろぐイチくん。
どうやらイチくんは苑実のことを知らないらしい。
「あんたねぇ!写真部だからって、写真部だからって……」
言いながら、わなわなと身体を震わせている。
苑実、そんなにイチくんに怒っていたんだ……。
でも、目の前でケンカだけはしないでほしい。
「そ、苑実?」