お日様のとなり
そっと苑実の肩に触れようとしたその時。
「あたしの大事なみあをこき使って泣かせたりしたら、許さないんだからねぇー!!」
まるで小さな子どもみたいに言葉の最後に涙ぐむ苑実に、ぐっと喉の奥が熱くなった。
苑実、そんなに私のことを心配してくれてたんだ……。
苑実が振り返る。
苑実の目元はじんわりと赤くなっていて、そのまま私の胸に飛び込んできた。
「苑実、ありがとう。でも私、大丈夫だよ」
「うん。わかってる。わかってるよ。みあが自分で決めたんだもんね」
中学の時からずっと一緒にいてくれたけど、こんな風な苑実は初めて見た。
ありがとうの気持ちをいっぱい込めて、私は苑実の背中を優しく叩いた。
苑実は泣いた顔じゃ教室にいられないと言って、トイレに向かった。
ついて行こうか迷ったけれど、苑実は一人で大丈夫だと笑ったから、見えなくなるまで背中を見送ることにした。
「みあの友達?」
「うん。中学の時からずっと一緒で、私が笑えないことも知ってるの」
「みあのこと、ずっごい好きなんだね」
イチくんからしたら、一方的に苑実に怒鳴られてしまったはずなのに。何も言わずに黙って見守ってくれていた。
目を細めてかけてくれた優しい言葉に心があったかくなった気がして、私は大きく頷いた。