お日様のとなり

正直、まだ全然自信はないけれど……。

やってみたいな、という気持ちだけはある。

「やってみようかな……」

「じゃ、決まり」

けど、それと休日の予定と何の関係があるのだろう。

予鈴が鳴って、イチくんは机からぴょんと飛び降りる。

ドアまで行ったイチくんは振り返ると口の端を上げた。

「明日、俺と海行こ」

「え……?」

海?



***


「かっきー!ほら見て!海、海ー!」

「そんなに連呼しなくてもちゃんと見えてるって。ねぇ垣谷さん」

学校の最寄り駅から、電車を乗り継いで2時間。

駅を出るとすぐに、広大な海が眼前に広がっている。

持っていた荷物を投げ出して、海に向かって一直線に走っていく真央先輩。

そして甲斐甲斐しくそれらを拾い集めて、真央先輩の後を追いかける森園先輩。

その後ろに私とイチくん。

『明日、俺と海行こ』

昨日私にそう言ったイチくんだけど、正確には2人でという意味ではなかったらしい。

「……」

「みあ?」

声をかけられて横を向く。

そうやって顔を覗きこまれるのはもう何度目だろうか。

その度に驚かされて、心臓がキュッとなる。
少しは覗かれる方の身にもなってほしい。


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