お日様のとなり
「ちょっとアンタたち、まだそんなとこいたの?」
「わっ!」
いきなりの真央先輩のドアップに身体が仰け反ってひっくり返りそうになる。
イチくんが後ろに手を回してくれていたおかげで、花壇に突っ込む失態からは免れたのだけど。
「あっぶねー」
上半身が仰向けになってしまった私の目の前にはイチくんの顔。
「ご、ごめんっ」
我に返った私はすぐに身体を起こして立ち上がった。
お、驚いた。
心臓が身体の中で大運動会を開催している。
「こんなとこでいちゃついてないで、せっかくの海なんだから、もっと向こう行ってみようよ」
いちゃつくって……。
真央先輩からはそんな風に見えていたんだろうか。
そう思うと、振り返ってイチくんの顔を見ることが出来ない。
「そうですね。行きましょう」
向こうでは森園先輩がお姉さま方に囲まれて困った顔をしている。
急いで助けに行ったほうが良さそうだ。
私はそのまま前だけを見て、海の方へと早足で歩き進めた。
「イッチー何ふさぎ込んでんの?先行くよ?」
「あれはヤバいだろ……」
「ん?なんか言った?」
「……別に」