お日様のとなり
海開きまではもう少しあるけれど、砂浜まで行くと結構人がいて、中には海水浴を楽しむ人もちらほら。
これだけ気温が高いのだから、海に入ったら気持ちよさそうだ。
森園先輩とも無事に合流して、持参した簡易テントを設置する。
袋から出しただけで形になるテントなんて画期的……!
拠点を作る手伝いをしながら私は一人、心の中で感激していた。
「じゃあ適当に荷物置いて、あとは自由行動。あ、貴重品は肌身離さず持っておくこと」
「イエッサー!」
「あと、陽射しが強いから帽子は必ずかぶって、水分補給をしに20分に一度は休憩しに戻ってくること。あとは……」
「もういいよ匠。子どもじゃないんだからそれくらいみんな分かってるし。ほら、約1名すでに行動し始めちゃってるし」
真央先輩が指さす方向に顔を向けて見れば、部長の話もそこそこに、イチくんはもうカメラを片手に何メートルも離れたところでカメラを構えている。
森園先輩は「まったく、あいつは……」と大きく息を吐いた。
そして、それぞれ好きな場所に移動して、いよいよ被写体探しが始まった。
森園先輩は水平線の取れるスポットへ。真央先輩は砂浜に何か描くと、それを色々な角度から写真に収めていた。
私は、どこへ行こうか……。