お日様のとなり

考えてみれば、休みの日にこうして誰かと遠出するなんて初めてかもしれない。

待ち合わせして、みんなで電車に乗って、こうして海に立っている。

その現実に、胸がじんわりと熱くなってくる。

顔が思わず緩みそうになった時、ある人の言葉を思い出して、一気に心がクリアになっていった。

心がずんと沈みかけていたその時。

「おねぇちゃん」

下からシャツをぐいっと引っ張られて、顔を下に向ければそこには小さな男の子が私を見上げていた。

「え、私?」

周りを確認したけれど、自分以外に近くに人はいなくて。

男の子はこくこくと何度も頷いた。

「ひ、一人?」

「ちがう。ママとパパときたんだけど、どこかに行っちゃった」

もしかして迷子……?

どうしていいか分からずにオドオドしていると、みるみる目に涙を浮かべる男の子。

今、この子が頼れる人ってきっと私しかいない。

私がしっかりしないと……!


「ねぇ見て!」

「ん?」

しゃがんで男の子と同じ目線になってみる。

すると、男の子はビー玉のような大きな目を真ん丸にして首を傾げた。


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