お日様のとなり
「す、すみませんでした……」
森園先輩の怒りもごもっとも。
私は素直に頭を下げた。
「ほら!イッチーも観念して謝りなさい」
そして真央先輩に無理やり頭を下げられるイチくん。
だったけど。
「ってゆーか、イッチー頭濡れすぎ!よく見たらかっきーもびしょ濡れじゃん。もー、海に入るならあたしも誘ってよー」
残念がる真央先輩。
隣で森園先輩がふっと笑った。
「ほんとに。なんで2人揃ってこんなに濡れてるんだか……。怒りながら笑い堪えるのって、結構大変だぞ?」
「性に合わないことするからだよ、匠。イッチーなんか下向きながらこっそり笑ってたんだから」
「あ、それ言っちゃダメなやつですよ。俺は部長の言葉を真摯に受け止めて今後の部活動に誠心誠意努めてまいる所存です」
テントに戻りながら、その後もぽんぽんと繰り出される3人の会話を、私は黙って見つめながらついて行く。
まだ部に入って数日の私でも分かるくらいの仲の良さに、少し羨ましくなる。
前を歩きながら、時々振り返るイチくん。
私がちゃんとついて来ているか確認しているのだろうか。
やっぱりイチくんは、優しい。
イチくんの優しさに、また心があたたかくなった。