お日様のとなり

そこにいたのは西野大蔵だった。

大蔵は近所に住んでいる、私の幼馴染だ。

小さな頃にこっちに引っ越してきた、右も左もよく分からない私とよく遊んでくれていた。

中学に入ってからはもうあまり一緒にいることはなくなってしまったけれど、偶然にも受けた高校が同じで、こうして近所でたまに顔を合わせることがある。

大蔵はバスケ部に所属していて、朝は早く、帰りは遅いから、本当にたまにだけど。

「大蔵、今日は早かったんだね」

「今はどこも部活やってねぇだろ」

テスト前だからか、大蔵は珍しく私よりも帰ってきたのが早かったらしい。

制服からスポーツブランドのロゴが付いたジャージに着替えて、ラフな格好をしている。

「うちに用事?」

「うちにっつーか、みあ電子辞書持ってねえ?」

「それならちょうど今持ってるよ」

今日は英語の授業があったからと、鞄の中から取り出して、大蔵に差し出す。

袖をまくったティーシャツから伸びる腕は、部活で鍛えられているせいか筋肉で筋張っていて、ひょろりとした私の腕とは大違い。

腕相撲をしたら、負けるどころかポキッとへし折られてしまいそうだ。

「大蔵、また逞しくなったんじゃない?」

「そうか?」

苑実は同じバスケ部だから、大蔵とは毎日のように顔を合わせているらしく、「あのバスケバカがね」とよく大蔵の話を聞く。

そういえばこの間は”バスケバカ”から”筋肉バスケバカ”に改名されていた。

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