お日様のとなり
「ありがと大蔵。助かっ……」
助けてくれた恩人にお礼を告げる。
てっきり目の前にいた大蔵が受け止めてくれたのだと思っていたけれど。
「ごめんね、俺、たいぞーじゃなくて」
「へ?」
宙に浮かんだ私。
階段の上には、私を見下ろす大蔵。
じゃあ、私の身体を支えているこの手は誰の……?
ゆっくりと声のする方に顔を向ければ。
「みあの声がしたと思って戻ってきたら、ちょうど上からみあが降ってきたからびっくりした」
にこにこと呑気に笑うイチくんの顔がドアップで視界に飛び込んできた。
何がどうなってそうなったのか。
私は今、イチくんにお姫様抱っこされている。
驚きと動揺で口を開けたまま声が出せない私は、自分の顔を両手で覆った。
そんな私を大蔵がどんな表情で見ていたかなんて、顔を隠した私には分かるはずもなく。
知らないところで不穏な空気が流れているのを良い意味で壊してくれたのは。
「あー!大蔵こんなとこにいた!今日は部活行く前に職員室に来いってキャプテンが……って、みあ何やってんの?!あ、安藤伊智!ってか何この状況!」
「相変わらず恐ろしいくらい元気だね、みあの友達は」
苑実なのでした。