お日様のとなり
2人のケンカが終息したことに安堵して、ふと他のファイルにも手を伸ばす。
パラパラとページをめくっていくと、目覚えのある写真に目が留まった。
「この写真……」
「あー、それ?たしか去年の文化祭で展示したやつだね」
けろりとした顔で真央先輩が答える。
カメラの手入れをしに場所を移したイチくんの背中が、奥でぴくりと動いたような気がした。
「この写真、知ってます。去年の文化祭で見ました。夕陽に当てられた女の子のシルエットが綺麗で印象的で……。写真ってこういう風にも表現出来るんですね」
写真を見てなにかを感じたのなんて、思えばこの時が初めてだった。
それまでは写真なんてものに興味はなく、どちらかといえば苦手意識しかなかったから。
「これを撮ったのは誰ですか?」
「俺だよ」
奥から聞こえた声に顔を向けるけど、イチくんは振り返らずにカメラの手入れを続ける。
それ以上何も言わないイチくんに、少しだけ違和感を感じた。