お日様のとなり
「ふーん、へーえ」
「そ、苑実……?」
じとりとした目で、ニヤニヤと口元を緩める苑実に、私は少し嫌な予感がした。
「花火大会、誰と行く約束してるの?」
一度合ってしまった目から咄嗟に逃げようとするけれど、ガシッと手首を掴まれてしまっては、それは叶わない。
「逃がさないよ?」
笑顔なのに、それが逆に恐ろしい。
というか、苑実、女の子なのに結構力が強い……。
運動部の女の子って、みんなそうなのだろうか。
私は一つ息を吐いて降参。
苑実は大事な友達なんだから、そもそも黙っている必要もなかったのかもしれない。
「実はね、」
私はイチくんと一緒に帰ったこと、そこでイチくんに花火大会に誘われたこと、本当は私もイチくんと一緒に見られたら良いなと思っていたことを苑実に全部打ち明けた。
恥ずかしかったけど、苑実は瞳を輝かせて、とても嬉しそうに聞いてくれた。
そして項垂れる苑実。
「そっか。あー、そうかぁ。いやなんとなく予想はしてたけど、でも……」
机に突っ伏して、くぐもった声が辛うじて聞こえるけれど、何を言っているのか全然わからない。
「みあがどんどん大人になっていく……」
顔を上げた苑実はなんだか複雑な表情をしていて、私はそれにただ首を傾げた。