お日様のとなり
明日の花火大会が気になって、せっかくの部活なのになんだか身が入らない。
色々な場所を訪れてファインダーを覗いてみるけれど、これといった構図が定まらず裏庭のベンチに座って溜め息を零す。
捻らせた足は、昨日に比べるとずいぶんと良くなっていた。
これなら花火大会にも行ける。
良かった……。
って、性懲りもなく私はまた花火大会のことを……。
「おい」
どこからか声がした気がして、きょろきょろと首を動かす。
「おい、どこ見てんだよ。こっち」
こっちって、上……?
導かれるように顔を上げれば、体育館の外通路からこちらを見下ろしている大蔵と目が合った。
開け放たれた出入口からは、体育館のフロアにボールを打ち付ける音やキュッキュッとバッシュが擦れる音が響いてきていた。
「大蔵、休憩中?」
「ちげーよ。ボール取りに来たらアホ面が見えたから声かけただけ」
「アホ面……」
って、もしかして私のこと?
辺りを見ても、私の他には誰もいない。
ムッとした顔で再び見上げれば、大蔵は口の端を微かに上げて笑っていた。
「足は?」
「足?」
「なんともないのかって聞いてんの」
「ああ……」
大丈夫だよ、というのを知らせようと、私は捻った方の足をぶらぶらとして見せた。
「アホか。スカートでそんなことすんな」
また人のことをアホって言う……。
大蔵は本当に口が悪い。
良いじゃないか、誰かが見ているわけじゃないんだから。