お日様のとなり
「西野ー?」
体育館から誰かが大蔵を呼んでいる声がして、振り返った大蔵は「おー」と短く返事をした。
「じゃあ、俺行くわ」
「うん」
「……みあ、あのさ」
「ん?」
何か言いかけた大蔵。
その言葉を待っていたのだけれど。
「……またアホ面してぼーっとしてんなよ。そうじゃなくても十分不細工なんだからよ」
ちょっと、せっかく待ったのに言いかけたことってそれ?
長年の幼馴染に対してそれは酷くないだろうか。
「してないよ!」
私は立ち上がり、ふんっと背中を向けた。
そして大蔵が体育館に入るのを見届ける前に裏庭を後にした。
だから。
「……んなこと分かってるよ、昔から」
そう言った大蔵の声が、私には届かなかった。