先生が私に恋をした~2~
「奏さーん、週末桜見に行かない?」
「土曜?、日曜?」
「んー、日曜。俺休みだし」
「いいよー」

午前の診察を終えて、そんな会話を広げていた私と
かっしー。
唯一、かっしーは勘づいたので、私と日野先生のことを
知っている
だから、私を元気づけようとたくさん笑わせてくれたり
どこかに連れ出したりしてくれる


プルルプルルプルル

「はい、原田です」
「神崎です。柏木先生います?」
「はい、代わります」

隣にいたかっしーにそのまま受話器を渡す

「はい、柏木です。あ、はい、すぐ行きます」

電話を切ったかっしーが顔を曇らせた
なんかのトラブルかな

「かっしー?」
「んー、俺が担当してた患者さん、ついさっき
亡くなったらしい。俺、行ってくるから」
「わかった。」
「なんかあったら、他の先生に確認してもらって」
「うん。」

かっしーは立ち上がると、白衣のシワを両手で
バサバサと直して診察室から出ていった

きっと、ずっと容態が安定してないって心配してた
患者さんだ
気にかけていただけに、かっしーのショックは
大きいのかもしれない



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