先生が私に恋をした~2~
それから、夕方になるまでかっしーは戻って来なかった
お昼ご飯も休憩も取ってない

私は翌日の準備をしながら、何度も時計を確認した


コンコン

「奏さんいる?」

振り向くと近藤先生が立っていた
オペ室だった近藤先生の術衣は汗が滲んでいた
ほんのり、汗の匂いがたち込める

「どうしました?」
「死亡診断書持ってきたんだ。漏れないか
確認してくれる?」
「わかりました」

先生がオペした患者さんかな?
受け取った診断書の名前を見ると、、、
これ、かっしーが担当してた患者さんだ。でも、
なんで近藤先生が?

「この、患者さんて、、、」
「あー、柏木先生が担当してた人。家族が亡くなったことに
納得しなくて、ずっと掴まったままだから。
俺が代わりに書いたんだ」

そー、なんだ。
時々いる。覚悟しててくださいと念押ししても
その結果に納得せずに噛みついてくる家族が、、、
気持ちはわからなくもない
でも、かといって、それがどうにかなるわけでもない
のに。

「柏木先生、お昼ご飯食べてないと思うんです」
「あー、大丈夫。俺が代わってる間、食べに行ったから」
「そうですか。」
「心配?」

一瞬にして目付きが変わった
先生と私の距離が近づいて、、、先生がやさしく頭を
撫でた

< 3 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop