先生が私に恋をした~2~
「奏ちゃん、送別会の出欠かいてねー」
「はーい、わかりました」


二週間後に近藤先生の送別会が行われることになった
私は一次会に○をして、また仕事に戻った


近藤先生は何事もなかったように普段通り接してくれる

本当にあのときだけだった。


「奏さん、バイパスだから入院案内してー」
「はい」

私はCABGについて、と書かれた印刷用紙と入院案内を手に
患者さんの元に説明しにいった

一通り説明して診察室へ行くと、かっしーはカチカチと
テンポよくキーボードを打ちならし、紹介状の返事を
作成してた


「説明終わりましたー」
「あ、ありがとう」
「あと、診察はなし?」
「終わりです」

よっしゃーと背伸びをするかっしー
相変わらず元気だ
つい口元が緩んでしまう
それを見ていたかっしーがいつ忍ばせたのか、白衣の
ポケットから缶コーヒーを取り出して

「はい、奏さん、ご褒美」
「ありがとう」

もうひとつポケットから出して乾杯と右手を掲げた

私は先生たちと違いその場で開けて飲むわけにはいかず
乾杯と掲げたあとに制服のポケットにしまった



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