先生が私に恋をした~2~
今日午後からはフリーだったため、三ヶ月以上来院記録
のない人のカルテを整理するため、三枝さんと鎌田さんと
カルテ庫にいた

何十という縦横長い列を作るカルテの棚
一番奥の棚は“ST”のラベル

そこの棚の前に来ると背筋がヒヤリとするのは私だけでは
ない


「暗くなる前に片そうね」
「ですね。」
「でも。もう三月だし、日が暮れるのは遅いから」

窓から差し込む夕日が眩しくて目を細めた

まだ少し肌寒さは残るものの、日中はほとんど人気のない
ヒンヤリしたカルテ庫も暖房なしでいられる
それくらい暖かくなってきた

「そういえば、日野先生帰国するみたいだね」

三枝さんが何気なく口にする

「みたいですね。」
「帰国後は2日休んでからだから、再来週の月曜には
出勤なのかなー」

鎌田さん、やけに詳しいし、、、
それは三枝さんも思ったらしくて


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