先生が私に恋をした~2~
週末には帰国

頭の中で壊れたレコーダーのように一文だけがリピート
し続ける

本当に、本当に帰って来るんだ


笑顔で迎える約束を果たせるのかな

日野先生の顔見たら、、、想像すると泣いてる自分しか
浮かんでこない

台ふきんを握りしめたまま、鏡の前で口角をあげて笑顔を
作る

歯を出してみたり、目尻を人差指で下げてみたり、、、


「百面相ごくろうさん」

堪える笑いと共に降ってきた一声

「か、神崎先生ー!」

居なかったのに、いつの間に来たの?
そもそもドアが開いた音すら聞こえてないし。

余程可笑しかったのか、涙を拭いながらソファに腰を下ろす

「いつの間に。変なとこ見せてすみません」
「入ってきたことすら気付かないくらいに霧中になるの?
その百面相は」

思い出したようにまた笑った

「もう忘れてくださいね、今のは」

本当、恥ずかしい

穴があったら大人しく入るんじゃなくて飛び込みたい位。





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