地味子ちゃんと恋がしたい―そんなに可愛いなんて気付かなかった!
14.ようやく回復して退院した!
日曜日になると、下痢が治まってきて、出血も全くなくなった。さすがに点滴が3日目になると、その扱いにも慣れてきた。歯磨き、髭剃り、洗面もなんとかできるようになり、シャワーも浴びた。もう一息だ。
午後に地味子ちゃんが見舞いに来てくれた。
「先輩、昨日より調子がいいみたいで、随分元気になりましたね」
「そう見える? 出血が止まったし、下痢も間隔が長くなっているので、もうすぐ止まるだろう。お腹の不快感もなくなってきた」
「よかったです。早く元気になって下さい。電話がなかったですけど、必要なものはないのですか?」
「昨日持ってきてくれたもので間に合っているから」
「洗濯物があれば洗って来ますけど」
「いいよ、そこまで頼めないよ。もう少し良くなったら自分でするから」
「お気遣いなく、父の下着を洗っていましたので平気ですから。フロアーに洗濯機と乾燥機がありましたから、ちょっと行ってきます」
「悪いね、カバンの中に財布があるから、そのまま持って行って使ってくれればいい」
「いいんですか。じゃあ、お預かりします」
地味子ちゃんは着替えた下着を持って洗濯に行ってくれた。随分借りができてしまった。
「百円玉3枚くらいで十分そうです。財布お返しします。洗濯に30分、乾燥に1時間くらいかかりますので、出来上がったら帰ります」
「ありがとう。ところで、故郷のお父さんはご健在なの?」
「父は私が大学3年生の時に亡くなりました。がんが見つかって、手遅れで、見つかって3か月後でした」
「それで、お母さんは?」
「母は私の小学6年生の時に交通事故で亡くなりました。それから父は男手一つで私を育ててくれました」
「お父さんが亡くなってからはどうしたの?」
「父の生命保険と私のアルバイトでなんとか大学を卒業しました。それからは磯村さんが知ってのとおりです」
「大変だったね」
「でも、今は自立してなんとか生活していけますから、すべて父のお陰です」
「米山さんが天涯孤独なんて知らなかった。これからは、僕が力になるよ、今まで以上にね」
「ありがとうございます。今までも十分力になってもらいました。感謝しています」
「住まいは梶ヶ谷だったね」
「梶ヶ谷の駅から徒歩5分のプレハブのアパートです。家賃が安いので生活していけます」
「先輩のマンションは素敵ですね」
「米山さんより給料が多いから。でも独身寮から移ったのは3年前、一人暮らしをしてみたかったからだ」
「彼女ができたら連れてくるためじゃないですか?」
「そういう下心があったかもしれないけど、全く実績なし」
「行ったら分かります。全く女っけなしですね。独身の男の人の部屋って興味があったのですが、期待外れ。殺風景この上なしですね」
「期待に沿えなくて悪かったね」
「米山さんの部屋は女の子らしいんだろう」
「ご想像していただければ分かると思いますが、家具も少なくて地味なものです。先輩の部屋と大して変わらないと思います」
「食事はどうしているの」
「自炊しています。昼食もお弁当を作ってきています」
「料理は得意なの?」
「母が亡くなってからは、父がしばらく食事を作ってくれていましたが、中学生になってからは、私がほとんど作っていました」
「料理はどうして覚えたの?」
「はじめは父が教えてくれましたが、書店で料理の本を読んで覚えてきて作りました。それで、結構、いろいろ作れるようになりました」
「すごいね。いずれご馳走になりたいな」
「そのうち機会があればご馳走します」
乾燥機から洗濯物を持ってきてくれて、地味子ちゃんは帰っていった。ありがとう、助かった。
***
月曜日の朝、主治医の女医さんが内視鏡で直腸の検査をして状態が良ければ点滴から食事に替わると言ってくれた。
内視鏡の検査は辛かったけど、検査の結果は異状なしとのことで、点滴が終了した。順調に行って問題がなければ、水曜日の午前中に退院できるとか、やれやれ。
昼食は3分粥で水みたいなお粥だった。これじゃ力がでない。それにおかずも刻んだ形のないものばかりで味気ない。ただ、今、普通の食事をすると胃腸が受け付けないとのことなので、我慢、我慢、もう少しの辛抱だ。夕食もやはり3分粥だった。
***
火曜日の朝4時に少量の便が出た。血も混ざっていなかった。朝食は5分粥、少し粥の量が増えただけ、おかずもやはり刻んだ形のないものばかり。昼食も5分粥、段々食欲が出てきた。夕食は全粥になった。でもお粥に変わりはないし、おかずも相変わらずだ。
***
水曜日の朝6時に便が出た。正常で血も混ざっていない。ようやく回復したことが自分でも分かった。
朝食は全粥。9時を過ぎたころに主治医が来て退院の許可が出た。この後は普通の食事で良いとのことだった。
すぐに会社に退院した旨を連絡した。出勤は明日からとして今日は家で休養することとした。
地味子ちゃんには[無事退院した。ありがとう。今日は自宅で療養]とメールを入れた。地味子ちゃんから返事のメールが入る。
[夕食は私がお家で作ってあげますから、待っていて下さい。6時30分には行けます]
午後に地味子ちゃんが見舞いに来てくれた。
「先輩、昨日より調子がいいみたいで、随分元気になりましたね」
「そう見える? 出血が止まったし、下痢も間隔が長くなっているので、もうすぐ止まるだろう。お腹の不快感もなくなってきた」
「よかったです。早く元気になって下さい。電話がなかったですけど、必要なものはないのですか?」
「昨日持ってきてくれたもので間に合っているから」
「洗濯物があれば洗って来ますけど」
「いいよ、そこまで頼めないよ。もう少し良くなったら自分でするから」
「お気遣いなく、父の下着を洗っていましたので平気ですから。フロアーに洗濯機と乾燥機がありましたから、ちょっと行ってきます」
「悪いね、カバンの中に財布があるから、そのまま持って行って使ってくれればいい」
「いいんですか。じゃあ、お預かりします」
地味子ちゃんは着替えた下着を持って洗濯に行ってくれた。随分借りができてしまった。
「百円玉3枚くらいで十分そうです。財布お返しします。洗濯に30分、乾燥に1時間くらいかかりますので、出来上がったら帰ります」
「ありがとう。ところで、故郷のお父さんはご健在なの?」
「父は私が大学3年生の時に亡くなりました。がんが見つかって、手遅れで、見つかって3か月後でした」
「それで、お母さんは?」
「母は私の小学6年生の時に交通事故で亡くなりました。それから父は男手一つで私を育ててくれました」
「お父さんが亡くなってからはどうしたの?」
「父の生命保険と私のアルバイトでなんとか大学を卒業しました。それからは磯村さんが知ってのとおりです」
「大変だったね」
「でも、今は自立してなんとか生活していけますから、すべて父のお陰です」
「米山さんが天涯孤独なんて知らなかった。これからは、僕が力になるよ、今まで以上にね」
「ありがとうございます。今までも十分力になってもらいました。感謝しています」
「住まいは梶ヶ谷だったね」
「梶ヶ谷の駅から徒歩5分のプレハブのアパートです。家賃が安いので生活していけます」
「先輩のマンションは素敵ですね」
「米山さんより給料が多いから。でも独身寮から移ったのは3年前、一人暮らしをしてみたかったからだ」
「彼女ができたら連れてくるためじゃないですか?」
「そういう下心があったかもしれないけど、全く実績なし」
「行ったら分かります。全く女っけなしですね。独身の男の人の部屋って興味があったのですが、期待外れ。殺風景この上なしですね」
「期待に沿えなくて悪かったね」
「米山さんの部屋は女の子らしいんだろう」
「ご想像していただければ分かると思いますが、家具も少なくて地味なものです。先輩の部屋と大して変わらないと思います」
「食事はどうしているの」
「自炊しています。昼食もお弁当を作ってきています」
「料理は得意なの?」
「母が亡くなってからは、父がしばらく食事を作ってくれていましたが、中学生になってからは、私がほとんど作っていました」
「料理はどうして覚えたの?」
「はじめは父が教えてくれましたが、書店で料理の本を読んで覚えてきて作りました。それで、結構、いろいろ作れるようになりました」
「すごいね。いずれご馳走になりたいな」
「そのうち機会があればご馳走します」
乾燥機から洗濯物を持ってきてくれて、地味子ちゃんは帰っていった。ありがとう、助かった。
***
月曜日の朝、主治医の女医さんが内視鏡で直腸の検査をして状態が良ければ点滴から食事に替わると言ってくれた。
内視鏡の検査は辛かったけど、検査の結果は異状なしとのことで、点滴が終了した。順調に行って問題がなければ、水曜日の午前中に退院できるとか、やれやれ。
昼食は3分粥で水みたいなお粥だった。これじゃ力がでない。それにおかずも刻んだ形のないものばかりで味気ない。ただ、今、普通の食事をすると胃腸が受け付けないとのことなので、我慢、我慢、もう少しの辛抱だ。夕食もやはり3分粥だった。
***
火曜日の朝4時に少量の便が出た。血も混ざっていなかった。朝食は5分粥、少し粥の量が増えただけ、おかずもやはり刻んだ形のないものばかり。昼食も5分粥、段々食欲が出てきた。夕食は全粥になった。でもお粥に変わりはないし、おかずも相変わらずだ。
***
水曜日の朝6時に便が出た。正常で血も混ざっていない。ようやく回復したことが自分でも分かった。
朝食は全粥。9時を過ぎたころに主治医が来て退院の許可が出た。この後は普通の食事で良いとのことだった。
すぐに会社に退院した旨を連絡した。出勤は明日からとして今日は家で休養することとした。
地味子ちゃんには[無事退院した。ありがとう。今日は自宅で療養]とメールを入れた。地味子ちゃんから返事のメールが入る。
[夕食は私がお家で作ってあげますから、待っていて下さい。6時30分には行けます]