地味子ちゃんと恋がしたい―そんなに可愛いなんて気付かなかった!
8.地味子ちゃんがイケメンに振られた!
月曜日の昼休みに地味子ちゃんからメールが入る。[新庄さんに振られました。ご報告したいのですが?]
すぐに返信。[6時半にビルの近くのビアレストランで]
6時半に仕事を切り上げて近くのビアレストランに向かった。店には客がもう何組か入っている。奥のテーブル席に地味子ちゃんを見つけた。
「すみません、お仕事忙しいのに、すぐに報告したくて」
「いや、特に急ぐ仕事でもないので切り上げてきた。気にしないでいいよ、それよりどうだったの?」
「振られてしまいました」
「ええ、それは残念だけど、ちゃんと交際をして下さいと言ったのか?」
「あれから、お二人が出て行ったので、二人になって間が持たなくなったところで、新庄さんが僕たちも場を替えようと言って」
「それから?」
「近くの喫茶店へ行きました。新庄さんも私もお酒はそんなに強くないので。そこで私の方から思い切って新庄さんに付き合っていただけないかと言いました」
「それで」
「米山さんは見違えるように可愛くなった。こんな可愛い人から付き合ってくれと言われてとてもうれしいけど、僕にはいま気にかかっている人がいるので、その気になれないと言われました」
「気にかかっている人といったのか? 誰かとは聞かなかったのか?」
「とても聞けるような感じではなかったので。ただ、そうですかとだけ言いました」
「それから」
「ところでさっき磯村さんと野坂さんが席を外したけど、二人の関係はどうなっているか知っているかと尋ねられました」
「それで何と答えた?」
「私が知っていることを答えました?」
「なんて?」
「磯村さんが私のことで野坂さんにいろいろ頼んでくれたこと、ときどきは飲みに行っているみたいだとか、でもどの程度の関係なのか分からないと話しました」
「そうか、まあ正解かな」
「すみません。お二人のことを勝手に話して」
「別にそのとおりだから、気にしなくていいよ。ところで新庄君はあきらめるのか?」
「あきらめます。よい勉強になりました。片思いって難しいと分かりました。でも、野坂さんにはこのままいろいろ教えてもらいたいと思っています」
「彼女には簡単に報告しておくよ。それから今後も指導してやってくれと」
「すみません。せっかくいろいろとお力を貸していただいたのにうまくいかなくて」
「可愛い後輩のためだ、気にしないで、これに懲りないでこれからも頑張って」
ビールを飲みながら励ましていると、地味子ちゃんは段々明るくなっていった。いつまでもくよくよしない、このへんが地味子ちゃんのいいところなのかもしれない。
月曜なので飲むのはほどほどにして帰ることにした。支払いは地味子ちゃんがどうしても私に払わせてほしいというのでご馳走してもらうことにした。
帰る方向は同じだから、一緒に電車に乗って途中で先に下車して帰宅した。やれやれくたびれもうけになった。でも、できるだけのことはしてやったから、まあいいとしようか。
帰宅して一息ついていると地味子ちゃんからメールが入る。[今日はありがとうございました。明日からもよろしくお願いします。おやすみなさい]
すぐに返信。[元気を出して! なんでも相談してくれたらいい。おやすみ]
すぐに返信。[6時半にビルの近くのビアレストランで]
6時半に仕事を切り上げて近くのビアレストランに向かった。店には客がもう何組か入っている。奥のテーブル席に地味子ちゃんを見つけた。
「すみません、お仕事忙しいのに、すぐに報告したくて」
「いや、特に急ぐ仕事でもないので切り上げてきた。気にしないでいいよ、それよりどうだったの?」
「振られてしまいました」
「ええ、それは残念だけど、ちゃんと交際をして下さいと言ったのか?」
「あれから、お二人が出て行ったので、二人になって間が持たなくなったところで、新庄さんが僕たちも場を替えようと言って」
「それから?」
「近くの喫茶店へ行きました。新庄さんも私もお酒はそんなに強くないので。そこで私の方から思い切って新庄さんに付き合っていただけないかと言いました」
「それで」
「米山さんは見違えるように可愛くなった。こんな可愛い人から付き合ってくれと言われてとてもうれしいけど、僕にはいま気にかかっている人がいるので、その気になれないと言われました」
「気にかかっている人といったのか? 誰かとは聞かなかったのか?」
「とても聞けるような感じではなかったので。ただ、そうですかとだけ言いました」
「それから」
「ところでさっき磯村さんと野坂さんが席を外したけど、二人の関係はどうなっているか知っているかと尋ねられました」
「それで何と答えた?」
「私が知っていることを答えました?」
「なんて?」
「磯村さんが私のことで野坂さんにいろいろ頼んでくれたこと、ときどきは飲みに行っているみたいだとか、でもどの程度の関係なのか分からないと話しました」
「そうか、まあ正解かな」
「すみません。お二人のことを勝手に話して」
「別にそのとおりだから、気にしなくていいよ。ところで新庄君はあきらめるのか?」
「あきらめます。よい勉強になりました。片思いって難しいと分かりました。でも、野坂さんにはこのままいろいろ教えてもらいたいと思っています」
「彼女には簡単に報告しておくよ。それから今後も指導してやってくれと」
「すみません。せっかくいろいろとお力を貸していただいたのにうまくいかなくて」
「可愛い後輩のためだ、気にしないで、これに懲りないでこれからも頑張って」
ビールを飲みながら励ましていると、地味子ちゃんは段々明るくなっていった。いつまでもくよくよしない、このへんが地味子ちゃんのいいところなのかもしれない。
月曜なので飲むのはほどほどにして帰ることにした。支払いは地味子ちゃんがどうしても私に払わせてほしいというのでご馳走してもらうことにした。
帰る方向は同じだから、一緒に電車に乗って途中で先に下車して帰宅した。やれやれくたびれもうけになった。でも、できるだけのことはしてやったから、まあいいとしようか。
帰宅して一息ついていると地味子ちゃんからメールが入る。[今日はありがとうございました。明日からもよろしくお願いします。おやすみなさい]
すぐに返信。[元気を出して! なんでも相談してくれたらいい。おやすみ]