壊れるほど君を愛してる
記憶の走馬灯
中学生になって色んな人に出会って、たくさん友達が出来た。
大好きなサッカーを続けたくて、俺はサッカー部に入った。
「翔!パス!」
ほとんどの大会で優勝することが出来た。先輩にはたくさん褒められた。
「後輩のクセに良くやるな」
たくさん先輩に褒められていても、誰も俺を嫌う奴なんて居なかった。むしろ、人気者だった。
常に誰かが居るのが当たり前で、たくさんの人に囲まれながら楽しい中学校生活をしていた。
俺は、普通に平凡な毎日を過ごしていた。
三年生になると、受験勉強ばかりやって息苦しさを感じていた。
そして、中学校最後の体育祭。みんなの推薦により、団長になった。結局、優勝まではいけなかったけど、とても楽しかった。
ある日のことだった。俺は久しぶりにサッカー部を覗こうと、光一と一緒に自転車で行った。
道で誰かと待ち合わせをしている女を見つけた。俺らの目線を感じたのか、女を俺らを見て目を見開いた。俺らはそんな奴のことなど気にせずに学校へ向かった。
それからだったんだ。噂が流れたのは。
学校に行くと、町ですれ違った女が居たのだ。てっきり俺は大人かと思っていた。まさか同じ学校では思わなくて爆笑した。
それを友達に話したら、色んなところへ広まった。別に俺は傷付くことは無いから気にしないでいた。
よく考えたら、あの女が待ち合わせをしていた場所は俺ん家の近くだった。もしかしたら俺のストーカーかもしれない、と光一が見解を述べた。
今時、気持ち悪いストーカーなんているんだな、と軽く思っていた。
かなり噂が広まって彼女のところに行き届いたのか、俺とすれ違う時は俯いて歩いたり、目を反らして歩いていた。
音楽祭は目の前に座っている俺らのことを気にせずに任された仕事をやっていた。
あれから、彼女とすれ違うことは無くなった。月曜日の早帰りでも彼女は現れなかった。きっと俺らを避けているのだろう。
ある日のこと。次の日のPTA活動に備えて教室の掃除をしていると、自転車小屋のところに彼女とその友達が居た。
「悪戯してみようぜ」
同じクラスの友達にそう言って、俺は窓を開けた。
「おい!」
叫んで急いで窓を閉めた。きっと彼女は驚いて固まっているのだろう。俺はその様子の横目で見ると、友達と一緒に笑った。
「翔って可哀想だよな。ブス女に好まれて」
「翔をストーカーする奴が現れるなんてな」
友達はそう言って大きな声で笑っていた。俺も友達と一緒に笑った。
何が俺が好きだ?俺に彼女も居るんだ。可愛くないお前なんか惚れられたら迷惑だ。
心の中で黒い物が流れて行くのを感じた。