壊れるほど君を愛してる
久しぶりにまたサッカー部の練習にお邪魔した。今日は雨が降っていて、体育館への通路である東渡り廊下での練習だった。
「翔、卓球部なら体育館で練習中だよ」
突然、後輩の爽(そう)がそんなことを言ってきた。爽はあの女と同じクラスだ。小学校の時に一回だけ隣の席になったらしい。
俺は光一と一緒に体育館を覗くと、彼女は割と真剣にやっていた。台から離れて打つ姿は俺からしたらすごいものだった。
「やっぱり卓球部だけあってスゲーな」
光一が呟いた言葉に俺は頷いて、俺らは練習場所に戻った。
俺と光一は途中で抜け出し、家に帰った。歩いている時の話題は彼女の話だった。
「さすがだったな」
「うん、ヤバいぐらい強そうだった」
これが勘違いだとしたら申し訳無いと思ったが、時既に遅し。噂はかなり広まってしまっている。
今日も俺は家で受験勉強をしていた。これでも高校は普通科に行くつもりだ。
次の週の水曜日だった。体育館割りは冬用へ変わり、サッカー部は体育館でフットサルの練習をする。
俺は光一を誘って、部活に行った。体育館前の廊下には女子卓球部の一年生が少し居た。
俺は後輩達と一緒にゴールを運んだ。制服から体操着に着替えてやり始めると暑くなって半袖半パンになった。
後輩が全く言うことを聞かなくて困っていると、先生が入り口の方に見えたのでそっちに向かった。
「先生、後輩くんが言うことを聞いてくれません!」
そう言っていると、奥のロッカーのところでラケットのお手入れをしている彼女を見つけた。本人も驚いているのだろう。
俺は何度もゴールを決めた。後輩達が「すごい」と喜んでくれた。
ゴールを運んでいると、ミーティングをする女子卓球部が居た。その中には、あの女も居たのだ。
帰る時には彼女は居なかった。もう友達と一緒に帰ったのだろうか。
俺も友達と雑談しながら家に帰った。