壊れるほど君を愛してる



部活が終わって帰る時、下駄箱には一通の手紙が入っていた。誰が書いてきたのかを確認してみる。


「あっ、同じ二年かよ……」


莉奈であることを期待してしまったが、宛名は一年生ではなく二年生だった。勝手に期待した自分が恥ずかしい。


「翔!」


玄関から出ると、誰かに名前を呼ばれた。


「翔、こっち!」


声がする方を見ると、そこには征也が居た。その隣に中学生と思われる子供達と大人が一人居る。俺がそっちに駆け寄ると、光一も息を切らして駆け寄って来た。


「今さ、父さんの生徒達に囲まれてるんだよね……」


征也がそう言って、なんとなく理解出来た。


俺が知ってる制服の子達は俺の出身校である西山中で、男子の制服が高校生みたいなブレザーとネクタイのところは征也の父さんが働いている北山中。女子の制服がセーラー服のところは東山中のはずだ。


「たくさん集合してるね……」


「スゲーな……」


俺がそう言うと、いつの間に俺の隣に居た優樹が唖然とした表情で呟いた。


子供達の名前を紹介させられた後、俺らはそれぞれの家に帰る。後輩だった翼と清香が俺と帰る方向が一緒らしく、途中まで雑談をしながら帰った。


見知らぬ奴がたくさん居たが、それはそれでとても楽しかった。賑やかでとても有意義な時間だったと思う。


この中に莉奈も居ればもっと楽しくなるんだろうな。


そんなことを考えながら、今日という日を終わらせて明日へ向かった。



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