壊れるほど君を愛してる
ついに本番が来たのだ。俺は、放課後の静かな中庭で待っている。
爽に莉奈を呼び出してもらったのだ。今日は委員会の仕事は無いらしい。
「えっ!」
声がして振り替えると、莉奈と思われるロングヘアーの女の子が驚いた顔をして立っていた。俺は笑って近付こうとする。
「あの……莉奈に話したいことがあって、爽に呼び出してもらったんだ」
莉奈の前で緊張していつものように上手く話せない。
そして、俺は大きく深呼吸をして言った。
「ごめんなさい!」
俺は頭を深く下げた。頭を下げていて彼女の反応が分からない。
「俺がストーカーだと勘違いして変な噂を流して……本当にごめんなさい!」
「えっ……先輩、顔を上げてください」
俺は彼女にそう言われてやっと顔を上げた。深く下げ過ぎて少し腰が痛く感じる。
「別にいいんですよ、そんなことは……ただ、先輩と話せて嬉しいです」
莉奈は冬なのに眩しい笑顔を向けてきた。なぜか俺の胸が高鳴る。
「先輩にあんな見苦しいものをお見せして、本当に申し訳ないです……」
そう言って、彼女は俯いた。まだ緊張しているのか?それは俺も同じことだ。
「あの……!」
俺はまた深呼吸をして言った。
「俺と友達からでいいから仲良くしたいんです」
俺がそう言うと、彼女は一瞬驚いた顔を見せてすぐに優しく微笑んだ。
「本当に良いのなら、よろしくお願いします!」
彼女は涙目になってそう言った。そして、目に溜まっていた彼女の涙が溢れ落ちた。
「本当に嬉しいです。ありがとうございます」
目の前の幸せを掴んだような彼女の笑顔に俺の全身が熱くなる。きっと俺の顔は真っ赤に染まっているだろう。
「泣くなよ、莉奈」
「嬉しくて、つい……」
「そっか……」
俺は泣いている彼女の涙を拭った。彼女は驚いた顔をして俺を見た。
「これからよろしくな?」
「はい!」
彼女はまた、目が眩むような笑顔を見せた。俺は胸の苦しさを隠しながら笑った。
「俺の友達が待ってるから行こう」
「はい!」
俺が手を差し伸べて微笑むと、彼女は恥ずかしそうに俺の手を掴んだ。そして、俺の友達が居る玄関に向かった。