壊れるほど君を愛してる
俺は自分の体育祭のことを照らし合わせながら読んでいた。俺は軍の団長で、面倒だと思いつつ頑張ってやっていたのだ。
丁度、HR(ホームルーム)の時間になり、その本を閉じた。
やっぱり、きっかけは体育祭だったんだ。あの子と似ているような気がした。
先生の話が終わった後、すぐに本の続きを読み始めた。
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体育祭も終わって、すごく暇に感じる日々。今日も私は彼に会いたいと強く願う。
理科室に行く時が少し楽しみになってきた。彼に会えるかもしれないから。
案の定、彼は友人と廊下で話していた。それを少し見て、理科室に入って行った。
彼に会えて良かったと思っているはずなのに、また会いたくなる。私は彼に恋をしているんだ、とまた気付かされる。
私は案外、面食いなのかもしれない。彼はとてもイケメンな人だった。それでも、あの笑顔には心を奪われてしまう。
授業中、私は窓の外を見つめた。また彼に会いたい、と思ったのだ。
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チャイムが鳴って、俺は本を閉じた。
窓の外を見ると、たくさんの雪が積もっていた。見ているだけで寒く感じる。
大嫌いな数学が始まった。俺は授業に集中出来ず、また本を開こうとする。だけど、止めた。先生に怒られるのが嫌だからだ。
俺は黒板の字をノートに写した。本が読みたくてうずうずしいが、一時間の我慢だ。
些細なことやすれ違うだけで喜ぶ主人公が高望みしないというのがまた良い。静かに片想いをしたいのが分かる。
こっそり、本の続きを見ることにした。
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彼のことを考えながら、会議室を掃除する。彼のことを考えると胸が痛くなる。
掃除が終わって手を洗うと、私はその場で硬直した。
彼が居たのだ。目の前で反省会が行われていた。私は急いでその場から離れた。
まさか隣の掃除場だったということに驚いている。まだ彼に会うチャンスは残っているんだ、と悟った―――
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「藤田!本を読んでないで、勉強しろ!」
俺は先生に怒鳴られて瞬きをする。急でよく分からなかった。
先生は俺を睨み付けて、教卓に戻って行った。
授業中に本を読むのはやめよう、そう悟らされた。
早く本の続きが読みたい。そう思ってはいられなかった。
主人公と彼がどうなるのかが気になる。静かに片想いをするだけでは小説にならない。小説になったということは何かあったのだろう。